・!DOCTYPE html PUBLIC "-//W3C//DTD XHTML 1.0 Transitional//EN" "http://www.w3.org/TR/xhtml1/DTD/xhtml1-transitional.dtd">" 介護の世界

介護業界のいま

img_01

要介護認定、10月から出直して再スタート
(2009年8月29日)

◆そもそも4月からの新基準の要介護認定とは

2009年4月から、新しい認定項目、新しい判断基準でスタートした要介護認定が、10月から判断基準をほぼ元に戻す形で再修正して出直すことになりました。そもそも、2009年4月からの要介護認定はどこがどう変わったのでしょうか。

2009年4月から始まった新基準の要介護認定は、以下の3点で変更がありました。

① コンピュータによる1次判定を行う際の基準となるデータの変更

② 認定調査項目の変更

③ 認定調査の判断基準の変更

①については、介護技術が進歩したので、介護保険スタート時から使用していた介護にかかる時間の物差し(1分間タイムスタディ)を、新たにデータを取って作り直した、とのこと。

②については、認定審査会委員、認定調査員、市町村事務担当者の負担軽減のために、調査項目を削減したとのこと。削減したのは、主治医の意見書により判断可能なもの、認定結果にほとんど影響を及ぼしていない調査項目14項。一方で、認知症高齢者の状態を正しく把握するため新たに6項目が追加され、結果、74項目になりました。

以上2点については、2006年10月から2008年11月まで2年あまりをかけて公開の「要介護認定調査検討会」で検討され、決まったことです。しかし③については、公開の場での検討はなく、一般には判断基準に変更があることも、2009年になるまで知らされていませんでした。

なぜ、③認定調査の判断基準を変更したかについて、厚生労働省は「認定調査における判断のバラツキをなくすため」と説明していました。そのため、認定調査員が調査の際に見たままの状態で判断してマークシートにチェックし、それが日常の状態とは違う場合は「特記事項」に日常の状態を説明する文を書き込む、ということにしたのです。

というのも、それまでの認定調査では、見たままの状態と、本人や家族が話す日常の状態に大きな差がある場合は、認定調査員が本来の状態と思われるレベルを「勘案」して、マークシートにチェックしていました。ところが、この「勘案」についての明確な基準がなく、認定調査員によってどう勘案するかにかなりの違いがありました。厚労省は認定調査の結果にバラツキが出る一因がここにあると考え、認定調査員が勘案しなくてよいやり方に変えようとしたわけです。

◆「バラツキを減らす」では説明できない判断基準変更

しかしこの判断基準の変更は、公表されると利用者、保険者、認定調査員、ケアマネジャーなどから大きな批判を浴びました。批判の一因は、事前に全く知らされていなかったこともあります。しかし何より「バラツキを減らす」という説明では納得できない様々な変更点が多かったからです。

たとえば、自分の膝に手をついて体を支えれば何とか立ち上がれる人、立っていられる人は、それまで「立ち上がり」「立位」という項目では「つかまればできる」と判断されていました。しかし、新しい判断基準では「つかまらないでできる」とされました。この変更は、「バラツキを減らす」ことが目的とは思えません。

こうした不可解な変更が多かったために、特に利用者団体から「認定結果を軽くするための意図的な改悪だ」という厳しい批判の声が上がりました。私も2009年3月、厚生労働省の担当課長になぜこのような判断基準の変更をしたのか取材したのですが、明確な回答はなく、不審に思いました。明確な説明ができないのでは、認定結果を軽くするための変更と言われても仕方がないと思います。

◆74項目中43項目の判断基準が再変更に

厳しい批判が渦巻き、新しい認定調査は棚上げにしてもう一度検証してからスタートさせるべきだ、との声もある中、それでも2009年4月から予定通り、新しい調査は始まりました。しかし批判の声の大きさに応え、4月のスタートと同時に、要介護認定対象者が新基準での認定調査の結果を不満とする場合はそれまでの要介護度を継続できるという「経過措置」が導入されました。また、4月には「新しい認定調査に係る検討・検証会」が招集され、新・認定調査の結果の検証も始まりました。

この「検討・検証会」で検証会委員から出された介護現場の声や、調査結果、保険者の報告から、明らかに現場が混乱していること、認定結果が軽く出ていること、事務負担は軽減されるどころか増大していることなどがわかりました。

厚生労働省が集計したデータからも、中等度以上の要介護者の認定調査結果には旧基準での認定調査時の結果と大きな違いはないものの、軽度要介護者は明らかに軽度判定になり、介護保険非該当(保険を利用できない)とされる人が増えていることもわかりました。

3回の「検討・検証会」を経て、非公開で変更した新基準の要介護認定における「判断基準」の多くを修正。2009年10月から、74項目中43項目の判断基準を再変更することが決まりました。批判を浴びていた「バラツキを減らす」ことが目的とは思えない判断基準の変更は、ほぼ元に戻されることに。見たままの状態像と日頃の状態像に違いがある場合はより頻回な状況を選び、「特記事項」に具体的な状況についての説明を書き込むことになりました。

2009年10月から、この再変更後の要介護認定が開始になるのに伴い、前回の要介護度を継続できる「経過措置」の適用希望は2009年9月末で受付を終了。すでに「経過措置」を利用しているかたは、次回の更新認定のときから新しい基準での要介護認定を受けることになります。

この「経過措置」は、新規認定のかたは認定結果に不満があっても前回認定結果を持っていないため利用できませんでした。変更された判断基準での認定がスタートする10月以降、旧基準での認定に不服があったかたの「区分変更申請」が増えそうです。
(2009年8月29日)